 5月も残りわずか、日替わりのように繰り返す寒と暖に少々へたり気味のこの頃である。月の後半には気温も急上昇、季節は確実に夏に向かって動いているようだが、梅雨前の真夏日にはさすがに身体が悲鳴を上げる。 今年、冬の降雪の少なさに今後の水不足が怪訝されるが、稲作を始め、農家の忙しさが本格的になってくる時期、街道沿いでは、すでに田植えを終えた水田が見られるようになってきた。そんな田植えの季節、山麓ではもう「空木(うつぎ)」の花が咲き始めている。 「空木(うつぎ)」。卯の花(うのはな)として唱歌“夏は来ぬ”の歌詞に出てくることは誰しも知るところだが、その歌詞からも、自然と共に生きていた昔の人の暮らしぶりが覗える。万葉集を含め、正岡子規、与謝蕪村など多くの歌人がこの花を詩に詠んでいるということだ。
そういえば、最近は田植えの時期には必ず聞こえてきた蛙の合唱が聞こえなくなった。それだけ我が暮らしの周りから、水田がなくなっということと思うが、経済失速の歪から、すでに破綻したように思える経済のシステム、やっと軌道修正されるかと思っていたが、その歪を増大させながらますます加速しているようだ。そんな「経済主導型・企業最優先」の今の社会形態は、人の未来に暗い影を落としているように見える。 卯の花(うのはな)の登場する、この歌に出てくるような、そんな風景の残る豊かな環境くらいは、せめて、次の世代のために残したいものである。
◆ ◆ ◆ 写真:2枚とも、街道から「のんび荘」に下りる道沿いに咲く「空木(うつぎ)」。 近くで見ると意外と騒々しい花である。 撮影日:2013年5月25日 撮影・コメント:クロコ
唱歌「夏は来ぬ」。 歌詞→ [http://mytown.main.jp/blog/wp-content/uploads/2006/05/natuhakinu.txt]
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